地方移住を検討するとき、「地方には仕事がないのでは」と不安に感じる人は少なくありません。実際には地方にも求人はありますが、都市部と比べて職種や企業数が限られ、希望する条件の仕事が見つからない可能性があります。
移住後に仕事を探し始めると、貯蓄を減らしながら就職活動を続けることになりかねません。移住前に求人の数だけでなく、給与、雇用形態、通勤手段、必要な資格まで確認しておくことが重要です。
本記事では、地方移住前に仕事と収入を調べる方法、求人情報を見る際の注意点を解説します。
地方には本当に仕事がないのか
「仕事がない」というよりも、希望する職種・給与・勤務地をすべて満たす求人が少ない、と考えた方が実態に近いでしょう。
医療、介護、建設、製造、運輸、小売、宿泊、農林水産業などは地方でも求人が見つかる一方、本社部門、専門的なIT職、広告、出版などは大都市に集中しやすい傾向があります。
求人が見つかりにくくなる条件
- 経験職種を変えたくない
- 都市部と同水準の給与を希望する
- 完全週休二日や在宅勤務を必須にする
- 車を使わず通勤できる職場に限定する
- 市町村内だけで仕事を探す
- 管理職や専門職に絞る
条件を妥協すればよいという意味ではありません。自分が譲れない条件を決め、移住候補地で実現できるかを先に確かめる必要があります。
求人件数だけで判断してはいけない
求人検索サイトに多数の募集が表示されても、その地域で安定した収入を得られるとは限りません。同じ求人が複数媒体へ掲載されている場合や、勤務地が広い範囲で登録されている場合もあります。
求人票で確認する項目
| 確認項目 | 注意する点 |
|---|---|
| 雇用形態 | 正社員、契約社員、パート、業務委託の違い |
| 基本給 | 手当や固定残業代を除いた金額 |
| 賞与・昇給 | 前年度実績と支給条件 |
| 勤務時間 | 交代勤務、早朝・夜勤、残業 |
| 休日 | 年間休日数、曜日、繁忙期 |
| 勤務地 | 実際の住所、転勤、現場への移動 |
| 通勤手段 | 車が必須か、駐車場代が必要か |
| 応募条件 | 資格、経験、年齢条件 |
月給表示の内訳を確認する
「月給25万円」と書かれていても、固定残業代、資格手当、夜勤手当などが含まれていることがあります。基本給がいくらなのか、毎月確実に受け取れる手当はどれかを確認してください。
年収を比較するときは、賞与が必ず支給されるものと決めつけず、基本給を基準に慎重に試算しましょう。
地方の仕事を探す5つの方法
1.複数の求人サイトで検索する
大手求人サイトだけでなく、地方求人に強い媒体や自治体の移住・就職支援サイトも確認します。一つの媒体だけでは、地域の求人全体を把握できません。
2.ハローワークの求人を調べる
地域の中小企業、医療・福祉、製造業など、大手サイトに掲載されていない求人が見つかることがあります。ただし、掲載情報だけで判断せず、応募前に仕事内容や労働条件を確認してください。
3.自治体の移住相談窓口を利用する
自治体によっては、移住者向けの就職相談、企業との面談会、地域おこし協力隊の募集、起業支援を行っています。
移住支援金には、対象地域、対象求人、就業期間などの条件が設けられていることがあります。支援金を前提に移住計画を立てる前に、最新の要件を自治体へ確認しましょう。
4.商工会議所や地元企業を調べる
地域の商工会議所・商工会の会員情報を見ると、どのような業種の企業が集まっているか分かります。求人を出していなくても、企業の採用ページで募集している場合があります。
5.転職エージェントへ相談する
経験のある職種や管理職を希望する場合は、転職エージェントが保有する非公開求人も選択肢になります。ただし、小規模な自治体では紹介可能な求人が少ないこともあります。
移住候補地の産業構造を確認する
当ナビで全国の自治体データを確認していると、人口規模が近い自治体でも、産業構造や周辺都市との位置関係によって仕事の選択肢が異なることが分かります。
観光地、工業都市、農業地域、県庁所在地の周辺では、求人の多い業種も異なります。自分の経験を生かせる産業があるかを確認しましょう。
地域を見るための情報
- 産業別の就業者数
- 主な企業と工業団地
- 病院、介護施設、学校の数
- 観光客数と繁忙期
- 近隣都市への通勤時間
- 新規開業・廃業の状況
市内だけでなく通勤圏で探す
住みたい自治体内に仕事が少なくても、近隣の中核都市まで通勤できれば選択肢が広がります。鉄道や幹線道路で隣接都市へ移動しやすい地域は、居住地と勤務地を分けやすくなります。
ただし、車通勤では燃料代、駐車場代、冬用タイヤ、渋滞時間なども考慮が必要です。求人票の通勤手当で全額を賄えるとは限りません。
リモートワーク移住の注意点
現在の仕事を続けながら移住できれば、現地で転職する必要はありません。しかし、勤務先の制度が将来も維持されるとは限らず、出社回数が増える可能性もあります。
移住前に会社へ確認すること
- 居住可能な地域に制限がないか
- 出社を求められる頻度
- 交通費・宿泊費の扱い
- 転居に必要な社内手続き
- 通信費や設備費の補助
- 情報管理上の条件
物件についても、光回線の提供エリア、通信速度、携帯電話の電波状況を確認します。「エリア内」と表示されても、建物まで回線を引き込めない場合があるため、通信事業者へ住所を伝えて確認するのが確実です。
移住後の手取りと生活費を試算する
地方では家賃や物件価格を抑えられる可能性がありますが、給与水準も変わります。また、車の購入・維持、寒冷地の暖房、住宅修繕など、都市部では目立たなかった支出が増えることがあります。
移住前に作る収支表
- 想定する月給から手取り額を試算する
- 家賃または住宅ローンを差し引く
- 車、光熱費、通信費を加える
- 空き家の修繕費を月割りで確保する
- 医療、教育、帰省費用を加える
- 収入が減った場合の予備費を確保する
| 収入・支出 | 確認内容 |
|---|---|
| 給与 | 手取り、賞与、残業代 |
| 住居 | 家賃、ローン、固定資産税、修繕 |
| 交通 | 車両費、燃料、保険、公共交通 |
| 光熱 | 電気、ガス、灯油、水道 |
| その他 | 通信、医療、教育、帰省 |
仕事を決めずに移住する場合の対策
すべての人が移住前に就職先を決められるわけではありません。その場合は、就職活動が長引いても生活できる準備が必要です。
- 6か月程度の生活費を目安に余裕資金を確保する
- すぐ働ける職種と希望職種を分けて探す
- 短期賃貸や移住体験住宅から始める
- 職業訓練や資格取得制度を調べる
- 副業を含めて収入源を複数検討する
- 移住を中止・延期する基準を決めておく
お試し移住中に平日の状況を確認する
移住体験では、観光だけでなく平日の通勤時間帯を確認します。候補企業まで実際に移動し、道路の混雑、鉄道・バスの本数、冬季の所要時間を調べてください。
コワーキングスペースや移住相談窓口を利用すると、地域で働く人から求人事情や通勤環境を聞ける場合があります。
まとめ:移住前に応募できる求人まで確認する
地方にも仕事はありますが、希望する職種や条件の求人が十分にあるとは限りません。求人件数だけで判断せず、雇用形態、基本給、通勤手段、必要資格まで確認することが大切です。
自治体単位ではなく周辺都市を含む通勤圏で仕事を探し、移住後の手取りと生活費を具体的に試算してください。
できれば移住前に応募・面接まで進め、現実に採用される可能性と提示される条件を確認してから、移住時期を決めましょう。




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