空き家投資や地方移住の候補地を探す際、「空き家率が高い都道府県なら、安い物件を見つけやすいのではないか」と考える方もいるでしょう。

空き家率の高さは、利用されていない住宅が多いことを示しますが、必ずしも投資機会や移住用住宅の多さを直接表すものではありません。人口減少による需要低下、賃貸住宅の空室、別荘、売却中の住宅など、空き家になった背景は地域によって異なります。

本記事では、空き家率が高い都道府県に見られる共通点と、投資・移住でデータをどう読み替えるべきかを解説します。

空き家率とは何を表す数字なのか

空き家率は、地域内の住宅総数に占める空き家の割合です。基本的には、次の計算で求められます。

空き家率=空き家数÷住宅総数×100

例えば住宅が10万戸あり、そのうち1万5,000戸が空き家なら、空き家率は15%です。

空き家には複数の種類がある

住宅・土地統計調査では、空き家は利用状況によって分類されています。

空き家の種類主な内容投資・移住での見方
賃貸用の空き家入居者を募集している住宅供給過多や空室競争に注意
売却用の空き家売り出されている住宅購入候補になる可能性がある
二次的住宅別荘や一時的に利用する住宅通常の放置空き家とは性格が異なる
その他の空き家長期不在・用途未定などの住宅相続空き家や老朽住宅を含む可能性

総空き家率が同じ都道府県でも、賃貸住宅の空室が中心なのか、長期間使われていない戸建てが中心なのかで、投資や移住における意味は変わります。

空き家率が高い都道府県に見られる共通点

1.人口減少と世帯数の減少

住宅需要を支えるのは人口だけでなく世帯数です。人口が減っても単身世帯が増えれば、必要な住宅数がすぐに減るとは限りません。しかし、人口と世帯数がともに減少すると、既存住宅が余りやすくなります。

若年層が都市部へ転出し、高齢世帯だけが残る地域では、相続をきっかけに住宅が空き家になるケースも考えられます。

2.高齢化と相続後の住宅利用

高齢化が進む地域では、所有者の施設入居や死亡によって住宅が使われなくなる可能性が高まります。相続人が都市部に住んでいる場合、住宅を自分で利用せず、売却や解体も進まないことがあります。

ただし、高齢化率が高いから将来必ず空き家が増えるとは限りません。住宅需要、相続人の意向、自治体の空き家対策によって状況は変わります。

3.新築住宅の供給と既存住宅のミスマッチ

人口が伸びていない地域でも、新築住宅が建設されることがあります。新しい住宅を選ぶ世帯が増える一方で、古い住宅が市場に残ると、住宅総数が世帯数を上回りやすくなります。

築古住宅に次のような問題があると、中古市場で流通しにくくなります。

  • 耐震性や断熱性が不足している
  • 水回りや配管が古い
  • 駐車スペースがない
  • 現代の世帯構成に間取りが合わない
  • 接道や境界に問題がある
  • 所有者が売却手続きを進めていない

4.都市部への人口集中

都道府県全体では人口が減少していても、県庁所在地や交通利便性の高い都市へ人口が集中することがあります。その場合、中心都市では住宅需要が維持される一方、周辺の町村では空き家が増えるという二極化が起こります。

都道府県平均だけを見ると、この地域差が見えません。同じ県内でも、市区町村ごとの空き家率や人口推移を比較する必要があります。

5.別荘・観光住宅が多い

観光地や避暑地では、普段は人が住んでいない別荘が空き家として集計されることがあります。別荘の多さによって総空き家率が上がっている地域と、管理されていない住宅が増えている地域では、問題の性質が異なります。

観光地で確認したい点

  • 二次的住宅が空き家数に占める割合
  • 通常の住宅需要と観光需要の違い
  • 繁忙期と閑散期の人口・宿泊需要
  • 別荘地の管理費や利用規約
  • 民泊・宿泊施設として利用できるか

6.地理・気候による管理負担

山間部、豪雪地帯、離島などでは、住宅の維持管理に費用と手間がかかります。屋根の雪下ろし、湿気対策、草刈り、害虫対策、塩害への修繕などが必要になる地域もあります。

安く取得できても、管理費が高ければ投資収支や移住後の生活負担に影響します。

空き家投資での空き家率の読み方

空き家投資では、空き家率の高さを「候補物件を探せる余地」として利用できます。ただし、空き家率が高いほど投資に有利とは限りません。

投資候補になりやすい組み合わせ

  • 空き家率が県平均より高い
  • 木造一戸建て数・比率が一定以上ある
  • 借家世帯や就業者が一定数いる
  • 人口・世帯数の減少が急激ではない
  • 病院、工場、学校など需要の発生源がある
  • 中古戸建ての売買・賃貸事例を確認できる

物件供給が多く、かつ利用者が存在する地域であれば、空き家率の高さを仕入れ機会として検討できます。

注意が必要な組み合わせ

  • 空き家率が高く、人口と世帯数も大きく減少している
  • 木造戸建ては多いが賃貸需要が確認できない
  • 売り物件が長期間成約していない
  • 交通や生活施設へのアクセスが悪い
  • 修繕費や管理費が取得価格を上回る

当サイトで全国1,741市区町村を比較していても、空き家率だけで投資適性を判断することはありません。木造戸建て、借家比率、築古住宅などを組み合わせて確認しています。

地方移住での空き家率の読み方

移住希望者にとって、空き家率の高さは住まいの選択肢が多い可能性を示します。しかし、空き家率が高くても、実際に購入・賃借できる住宅が多いとは限りません。

所有者が貸す意思を持っていない、相続登記が済んでいない、老朽化して住めないといった理由で、市場に出てこない空き家もあります。

移住先として確認したい条件

確認項目見るべき内容
住宅空き家バンク、賃貸、売買物件の実数
仕事求人、通勤圏、平均所得、通信環境
医療診療所と中核病院までの移動時間
買い物スーパーや生活用品店へのアクセス
交通車が使えない場合の移動手段
住宅管理修繕、除雪、草刈り、固定資産税

空き家率が低い地域にも利点がある

空き家率が低い地域は物件の選択肢が少ない可能性がありますが、住宅需要が比較的維持されているとも考えられます。将来売却する必要が生じた場合、需要のある地域の方が出口を確保しやすいことがあります。

都道府県平均だけで市区町村を決めない

都道府県の空き家率は、県全体の傾向を把握するための入口です。しかし、県庁所在地、地方都市、山間部、観光地では住宅事情が大きく異なります。

  1. 都道府県の空き家率で大まかな傾向を見る
  2. 県内市区町村の空き家率を比較する
  3. 木造戸建て、所得、人口、借家比率を確認する
  4. 候補自治体の流通物件を調べる
  5. 現地で立地と建物状態を確認する

この順序で絞り込むと、県平均だけでは見つけにくい地域差を把握できます。

空き家率データを見るときの注意点

調査年を確認する

住宅・土地統計調査は毎年行われる調査ではありません。人口や住宅市場は調査後も変化するため、掲載年を確認してください。

小規模自治体では非公表の場合がある

人口や住宅数が少ない自治体では、統計精度や秘匿処理の関係で空き家データが公表されていない場合があります。非公表は空き家がゼロという意味ではありません。

個別物件の状態は統計から分からない

統計データでは、雨漏り、傾き、接道、権利関係、修繕履歴などは確認できません。候補地を絞った後は、個別物件の調査が必要です。

まとめ:都道府県は入口、市区町村と物件で決める

空き家率が高い都道府県には、人口・世帯数の減少、高齢化、既存住宅と需要のミスマッチ、中心都市への人口集中などが見られることがあります。ただし、観光地の別荘や賃貸住宅の空室が数字を押し上げている場合もあります。

空き家投資では、空き家率を物件探索の入口として、木造戸建てと賃貸需要を組み合わせて確認します。地方移住では、実際に住める住宅が流通しているか、仕事や医療を含めて生活を続けられるかが重要です。

都道府県平均だけで結論を出さず、市区町村、生活圏、個別物件の順に確認しましょう。