空き家や築古戸建ては、内装がきれいでも屋根、床下、配管などに大きな問題を抱えている場合があります。購入後に不具合が見つかると、物件価格を上回る修繕費が必要になることもあります。

内見では、部屋の広さや間取りだけでなく、建物の安全性、修繕範囲、生活インフラ、土地条件まで確認することが重要です。

本記事では、空き家の内見で確認したい項目と、専門家による建物状況調査を検討すべき場面を解説します。

空き家の内見前に準備するもの

持ち物主な用途
スマートフォン・カメラ建物状態と設備の記録
懐中電灯床下・天井裏・収納内の確認
メジャー部屋・間口・設備寸法の確認
水平器床や柱の傾きの参考確認
マスク・手袋ほこり、カビ、汚れへの対策
スリッパ・長靴床や敷地の安全確保
筆記用具不具合と質問事項の記録

床下や屋根裏へ無断で入る、設備を勝手に動かす、壁材を剥がすといった行為は避けてください。確認したい箇所は、売主や仲介業者の許可を得てから調査します。

建物の外側で確認すること

屋根・雨どい

  • 瓦のずれ、割れ、欠落
  • 金属屋根のさびや浮き
  • 屋根面のたわみ
  • 雨どいの破損・詰まり
  • 軒裏の染みや腐食

屋根は地上から見える範囲が限られます。ドローンや屋根上の調査が必要な場合は、専門業者へ依頼してください。

外壁・基礎

外壁のひび割れ、剥がれ、変色を確認します。基礎に大きなひび割れがある、建物との間にずれがある場合は、構造上の問題がないか専門家へ相談しましょう。

敷地・境界・排水

  • 境界標があるか
  • 隣地の樹木・塀・屋根が越境していないか
  • 敷地に水がたまりやすくないか
  • 擁壁にひび割れや膨らみがないか
  • 庭木や残置物の撤去量
  • 駐車スペースと進入路の幅

建物内部で確認すること

雨漏りの形跡

天井や壁の染み、壁紙の浮き、木材の変色を確認します。雨漏りは原因箇所と室内の染みの位置が一致しないこともあります。

雨漏りを疑うサイン

  • 天井に茶色や黒色の染みがある
  • 室内にカビ臭さがある
  • 窓枠や柱が変色している
  • 壁紙が浮いている
  • 天井板や床が波打っている
  • バケツやブルーシートが置かれている

内見日が晴れている場合、現在も雨漏りしているか判断しにくいため、売主へ発生時期や修繕履歴を確認してください。

床・柱・建具の傾き

床を歩いたときに沈む、特定方向へ傾く、引き戸や窓が自然に動く場合は注意が必要です。水平器は異変を見つける参考になりますが、建物全体の安全性を判定するものではありません。

傾きが疑われる場合は、建築士などに測定を依頼しましょう。

シロアリ・腐食

  • 床がふわふわ沈む
  • 柱や敷居を押すと柔らかい
  • 木材に筋状・空洞状の食害がある
  • 羽アリや羽が落ちている
  • 基礎から土の筋が伸びている
  • 浴室・台所周辺に腐食がある

シロアリ被害は見える部分だけとは限りません。床下調査や防除履歴の確認も検討してください。

水回りと生活設備の確認

設備確認事項
水道給水方式、漏水、赤水、凍結履歴
排水下水道、浄化槽、くみ取りの区分
浴室腐食、ひび割れ、給湯設備
台所配管、換気、床の腐食
トイレ排水方式、便器、床の状態
電気契約容量、配線、分電盤
ガス都市ガス・LPガス、配管状態

長期間使用されていない空き家では、水道や電気が停止している場合があります。通水・通電できないと、設備が正常に動くか確認できません。引き渡し後に故障が判明した場合の扱いを契約前に決めておきましょう。

断熱・耐震・アスベストにも注意する

断熱性

築古住宅では、壁・床・天井に十分な断熱材が入っていない場合があります。冬の寒さや夏の暑さは、移住後の光熱費や暮らしやすさに影響します。

窓が単板ガラスか、床下から冷気が入らないか、地域の気候に対応できるかを確認してください。

耐震性

建築確認時期や増改築履歴を確認します。古い耐震基準で建てられた住宅は、耐震診断や補強工事が必要になる場合があります。

アスベスト

古い建材にはアスベストが含まれる可能性があります。通常使用だけで直ちに飛散するとは限りませんが、解体・改修時には事前調査と適切な工事が必要です。

土地・道路・権利関係の確認

建物の状態が良くても、土地条件に問題があると活用や売却が難しくなります。

  • 建築基準法上の道路へ接しているか
  • 接道幅と道路幅員は足りているか
  • 再建築できるか
  • 私道持分や通行権があるか
  • 土地の境界が確定しているか
  • 増築部分が登記・確認申請と一致しているか
  • 抵当権、共有名義、借地権がないか
  • 再建築不可物件の見分け方

周辺環境は時間を変えて確認する

物件内見は昼間に行うことが多いですが、朝夕や休日には交通量、騒音、においが変わる場合があります。

周辺で確認したいこと

  • スーパー、病院、学校までの移動時間
  • 道路幅、坂道、積雪時の通行
  • 河川、崖、浸水などの災害リスク
  • 工場、幹線道路、鉄道の騒音
  • 街灯と夜間の明るさ
  • 携帯電話とインターネットの通信状況

専門家による建物状況調査を検討する

内見は購入候補を絞るために役立ちますが、目視だけで建物の安全性を判断することは困難です。購入意思が固まった段階で、建築士などによる建物状況調査を検討しましょう。

ただし、一般的な建物状況調査にも、見えない壁内部やすべての配管までは調べられないといった限界があります。必要に応じて、耐震、シロアリ、雨漏り、給排水などの追加調査を行います。

内見後に総費用を計算する

  1. 不具合を緊急・数年以内・任意に分類する
  2. 修繕業者から見積もりを取る
  3. 残置物・庭木の撤去費を加える
  4. 取得諸費用と税金を加える
  5. 予備費を確保する
  6. 賃貸・売却・自己利用の収支を比較する

まとめ:内見は修繕範囲と総費用を知るために行う

空き家の内見では、間取りや内装だけでなく、屋根、基礎、雨漏り、傾き、シロアリ、水回り、接道、境界を確認する必要があります。

異変を見つけることはできても、一般の購入者が修繕方法や安全性まで判断するのは困難です。購入候補を絞った後は専門家の調査と見積もりを行い、購入費を含めた総額で判断してください。

※建物状態や法的条件は物件ごとに異なります。内見時の自己判断だけで契約せず、建築士、不動産会社、自治体などへご確認ください。